← 記事一覧へ戻る 2026.02.19

液体なのに固まる?!身近に潜む「非ニュートン流体」の不思議

液体なのに叩くと固まる不思議な物質「非ニュートン流体」の謎を解き明かします。身近な片栗粉水から防弾ベストといった意外な応用例まで、その独特な振る舞いの裏にある科学的な仕組みを、分かりやすく解説する記事です。

液体なのに固まる?!身近に潜む「非ニュートン流体」の不思議

「え、これ本当に液体なの?」そんな驚きを体験したことはありませんか?例えば、片栗粉を水に溶かして作ったドロドロの液体。ゆっくり触れば指が沈むのに、勢いよく叩くとまるで固形物のように跳ね返される。この不思議な現象、実はあなたの身の回りにもたくさん隠れている「非ニュートン流体」という物質の仕業なんです。今回は、このちょっと変わった液体の正体に迫り、その面白さと応用例を一緒に探ってみましょう!

詳しく見てみよう

まず、一般的な液体について考えてみましょう。水や油のように、私たちが普段「液体」と認識しているものは、力を加えれば加えるほど、その力に比例してスムーズに変形し、流れます。これを「ニュートン流体」と呼びます。例えば、水をかき混ぜる速さを2倍にすれば、抵抗もだいたい2倍になりますよね。しかし、非ニュートン流体は違います。外部から加えられる力(専門的には「剪断応力」と呼びます)の大きさや速さによって、粘り気(粘度)が変化する、非常に個性的な液体なのです。

非ニュートン流体にはいくつか種類がありますが、片栗粉水のような「叩くと固まる」タイプは、特に「剪断増粘性流体」や「ダイラタント流体」と呼ばれます。その名の通り、剪断応力が増すと(つまり、強く速く力を加えると)粘度が増し、まるで固くなったかのように振る舞います。なぜこんなことが起こるのでしょうか?その秘密は、液体の中に分散している微細な粒子にあります。

片栗粉水の場合、デンプンの微粒子が水の中にたくさん漂っています。ゆっくりと力を加えると、これらの粒子は水の中を自由に動き回り、水が潤滑剤のように働くため、全体としてはスムーズな液体として振る舞います。しかし、強い力や速い力を瞬時に加えるとどうなるでしょう?粒子たちは急な動きに間に合わず、ぎゅうぎゅうに押し合って、お互いの間にあった水が一時的に抜け出てしまいます。すると、粒子同士が直接ぶつかり合い、摩擦が生じて動きにくくなります。この状態が、まるで液体が固まったかのように感じる「粘度の上昇」の正体なのです。力を緩めると、粒子間に再び水が染み込み、液体としての性質を取り戻します。この動きは非常に素早く、まさに「液体が固形に変化した」ように見えるのが面白いところです。

他にも、力を加えると逆に粘度が下がる「剪断減粘性流体」(ケチャップやペンキ、マヨネーズなどがこれにあたります)や、時間が経つと粘度が変化する「チクソトロピー性流体」など、非ニュートン流体は実に多様です。しかし、私たちが日常で最も驚きを感じやすいのは、やはり「剪断増粘性流体」でしょう。その一瞬の変身は、物理の奥深さを教えてくれます。

身近な例

非ニュートン流体は、私たちの生活の中に意外な形で溶け込んでいます。

まとめ

いかがでしたか?私たちが当たり前だと思っている「液体」の常識を覆す非ニュートン流体は、ただ不思議なだけでなく、私たちの生活を支え、未来の技術を拓く可能性を秘めた興味深い物質です。身近な片栗粉水から、命を守る防弾ベストまで、その応用範囲は驚くほど広いですね。

次回の科学実験で片栗粉水を触ってみるときは、「この液体は、力を加えると粘度を変えるんだな」「粒子の間から水が逃げるから硬くなるんだ!」と思い出してみてください。きっと、いつもの液体が、また違った顔を見せてくれるはずです。身の回りの何気ない現象にも、実は奥深い科学の原理が隠されている。そう考えると、日常がもっと面白く、豊かに感じられるのではないでしょうか。