← 記事一覧へ戻る 2026.02.19

水流が壁に吸い付く不思議!コアンダ効果の秘密

水がコップの縁に沿って垂れたり、シャワーカーテンが体にまとわりついたりする現象の裏には、「コアンダ効果」という物理法則が隠されています。これは、流体が湾曲した面に沿って流れ続ける性質のことで、流体の慣性、粘性、そして周りの空気の巻き込みによる圧力差が引き起こします。飛行機の翼や掃除機の設計にも応用されており、私たちの身近な場所で活躍している不思議な科学現象です。

水流が壁に吸い付く不思議!コアンダ効果の秘密

やかんからお湯を注ぐ時、なぜか水流が思ったよりもやかんの口に沿って流れ落ちてしまったり、お風呂でシャワーを浴びていると、シャワーカーテンが体に吸い付くようにまとわりついてきたりした経験はありませんか? 多くの人が「どうしてだろう?」と感じつつも、特に気にせずやり過ごしているかもしれません。実は、これらの日常的な現象の裏には、流体の不思議な性質が隠されています。その名も「コアンダ効果」。今日は、まるで魔法のように水流や気流が壁に吸い付くこの面白い物理現象について、そのメカニズムと身近な応用例を深掘りしてみましょう。

詳しく見てみよう

コアンダ効果とは、「流体(液体や気体)の噴流が、湾曲した面に沿って流れる傾向がある」という現象です。この効果は、ルーマニアの航空技術者アンリ・コアンダが、1930年代に航空機のエンジンを研究中に発見しました。彼は、ジェットエンジンの排気が翼の表面に沿って流れることで、揚力が増大することに気づいたのです。

では、なぜ流体はまっすぐ進むことをやめて、曲面に吸い付くように流れるのでしょうか?その秘密は、主に次の3つの要素の組み合わせにあります。

  1. 慣性による圧力の低下:流体は本来、まっすぐに進もうとする慣性を持っています。しかし、湾曲した面に沿って無理やり曲げられようとすると、流体の外側へと引っ張られる力が生じます。この時、流体と湾曲した面との間に、ごくわずかながら圧力が低い領域が生まれる傾向があります。
  2. 周囲の流体の巻き込み(エンルレインメント):これがコアンダ効果の最も重要なメカニズムの一つです。流体が勢いよく流れると、その周囲にある静止した流体(空気など)を巻き込みながら進みます。湾曲した面に沿って流れる場合、流体の流れと面との間の空間にある空気が、流体によって吸い出されてしまいます。その結果、この空間は空気の密度が低くなり、周りの大気圧よりも低い「負圧」の状態になります。
  3. 圧力差と粘性:流体の流れと面との間に負圧の領域が生まれると、周りの高い大気圧が、この負圧の領域を埋めようと流体を湾曲した面に押し付けます。まるで、高いところから低いところへ空気が移動しようとするのと同じ原理です。さらに、流体の「粘性」も重要な役割を果たします。粘性によって、流体の分子同士や、流体と面との間に引き合う力が働き、流体が面から離れにくくなるのです。この圧力差と粘性の組み合わせによって、流体は曲面に吸い付くように流れ続けることができるのです。

まるで流体が「真空の壁」に吸い寄せられているようなイメージですね。一度この力が働き始めると、流体は積極的に面から離れようとせず、安定して曲面に沿って流れていくのです。ただし、湾曲の度合いが極端すぎたり、流体の速度が速すぎたりすると、効果は失われて流体は面から剥がれてしまいます。

身近な例

コアンダ効果は、私たちの日常生活から最先端技術まで、驚くほど多くの場所で利用されたり、観察されたりしています。

まとめ

「コアンダ効果」という言葉は知らなくても、その現象は私たちの日常に溢れていましたね。水がコップの縁を伝って流れ落ちるのを見たり、シャワー中にカーテンが寄ってくるのを感じたりするたびに、「これもコアンダ効果だ!」と気づくことができるでしょう。流体がまっすぐ進むという常識を覆し、湾曲した面に引き寄せられるこの不思議な力は、流体の慣性と粘性、そして周囲の流体の巻き込みによる圧力差によって生まれます。このシンプルながらも奥深い原理は、日用品から最先端技術まで、私たちの生活を豊かにするために幅広く応用されています。今日からぜひ、身の回りのコアンダ効果を探して、「なるほど!」と誰かに話してみませんか?